ギターアンプの中にはINPUT端子がHIGHとLOWで二つに分かれているものがあります。これは使い分け方によってどちらに接続するかが変わってきます。これを間違えると、イメージする音が出ない、音にノイズが混じるなどの症状がでる場合があります。
HIGHとLOWどちらに繋げばいいのか、基本的な使い分けについて解説します。

「インピーダンス」を考える

ギターアンプなどオーディオ機器は交流の電気信号が流れていますが、交流電流の電気抵抗を「インピーダンス」といいます。
機器の電圧が高いほど大きくパワフルな音が出ますが、同時にインピーダンスも大きくなります。これを「ハイインピーダンス」と言い、ノイズも拾いやすくなります。
逆に電圧が低くインピーダンスが小さいことを「ローインピーダンス」と言い、ノイズが出にくいです。

要約すると

・ハイインピーダンス・・・音が大きくノイズに弱い(歪みやすい)
・ローインピーダンス・・・音が小さくノイズに強い(歪みにくい)

ということになります。

「インピーダンス」を合わせる

出力側と入力側、この場合ギター側とアンプ側のインピーダンスを合わせることで、効率的に電気信号の伝達が行うことができ、良い音を出しやすくなります。

①出力と入力のインピーダンスが同じ
下の図のように出力と入力のインピーダンスが同じの場合、電気信号が正しく伝わります。

②出力がローインピーダンス、入力がハイインピーダンス
出力と入力でインピーダンスが異なりますが、出力が入力の許容値を超えていないため問題なしとしています。この形を俗に「ロー出しハイ受け」と言い、オーディオ機器ではこの形式がよく使われています。

③出力がハイインピーダンス、入力がローインピーダンス
出力のインピーダンスが入力を超えており、電気信号が正しく伝わっていません。
ギターで鳴らした音がアンプに伝わらず、イメージした音が出ない恐れがあります。特に、インピーダンスの大きな高周波数(高音程)の音への影響が大きく、こもった音になりがちです。

入力側をハイインピーダンスにすることで、出力側のインピーダンスが高くても低くても余裕をもって信号を受けることができるため、②の「ロー出しハイ受け」の形が広く扱われています。

アンプの「HIGH/LOW端子」はどう使い分ける?

インピーダンスについて説明をしましたが、実際にギターをアンプに接続する時、どのような場合にどちらの端子に接続すればいいのか?を解説します。

HIGH端子に接続する場合

電池を使用しないパッシブギター、又はギターを直にアンプに接続する場合、ピックアップがハイインピーダンスで信号を伝達するためHIGH端子に接続します。
ラウド系のロックバンドなど、直アンでパワフルな音を出したい場合にオススメです。

LOW端子に接続する場合

プリアンプを内蔵したアクティブギター、又はエフェクタを間に挟んだセッティングの場合、ローインピーダンスになるためLOW端子に接続します。
エフェクタを繋いでギターの音色を細かく調整したい場合や、空間系の音に拘りたい場合にオススメのセッティングです。

 

※下の写真のようにINPUT端子が「PASSIVE」と「ACTIVE」に分かれているアンプもあります(写真はベースアンプ HARTKE/HA2500)。
この場合はPASSIVE端子にパッシブベース、ACTIVE端子にアクティブベースを接続します。

オーディオインターフェースのHi-Z端子

ギターやベースをオーディオインターフェースに接続して録音したい場合、「Hi-Z」に対応しているかを確認する必要があります。
オーディオインターフェースについているマイク端子に接続するような通常のマイクに比べ、ギターやベースのインピーダンスは遥かに高いため、普通にマイク端子に接続しても音が正しく伝わらないという症状が起きます。
そこで、何を接続しても問題ない程度にハイインピーダンスなHi-Z端子を利用し、出力インピーダンスの高い楽器でも正常に音を伝達できるようにします。
機械によっては、Hi-Z端子ではなく、通常のマイク端子をHi-Z入力にするかそうでないかを切り替えるHi-Zスイッチを採用しているものもあります。

さいごに

これまでの内容をまとめると、

・楽器(出力)よりアンプ側(入力)のインピーダンスを高くする必要がある(ロー出しハイ受け)。
・パッシブギターや直アンで接続する場合はHIGHインプット。
・アクティブギターや間にエフェクターを挟んで接続する場合はLOWインプット。
・オーディオインターフェースにギター/ベースを繋ぐ場合はHi-Z端子を利用する。

ということになります。

あくまでこれらの手段は、良い音を正しい形で鳴らすための準備のようなものです。
音楽においてどのような音が正しくてどれが間違っているとは一概に言えないため、自分の理想とする音が出せるかどうかは最終的に演奏者の耳にかかっていると言えます。
どの接続でどんな音がでるのか、自分なりに色々聞いて試してみると良いと思います。