以前、スネアドラムの打面のチューニングについて紹介しました。
スネアを良い音で鳴らすには、打面だけではなくスネアサイド(裏側のヘッド)のチューニングや、スナッピーを正しく取り付けることも大事です。
そんなわけで、今回は『スネアの裏側』のセッティングについて紹介いたします。
スネアサイド(ボトム用)ドラムヘッドの超定番114SA。スナッピーに振動を伝えやすい極薄のスネアドラム・ボトム専用ヘッドです。

サイドのチューニングでスネアの響きが決まる

打面のチューニングによって、スネアのピッチ(音程)やヘッドの反発に左右される叩きやすさなどが変わります。
対してスネアサイドのチューニングの目的は、『スネアの響きを変えること』です。
打面をスティックや手で叩くことで起こる振動が裏面のサイドに伝わり、スネアの響きを調整します。サイドのチューニングをすることで音の余韻が長くしたり短くしたりできるのです。
この余韻の調整が上手くいかず、スネアが他の楽器の音に埋もれてしまう、他の楽器の音の邪魔になるといったことも少なくありません。
バンド全体に上手く馴染む音を作るために、サイドのチューニングは欠かせないのです。

それでチューニングはどうやればいいの?

根本的には打面のチューニングと一緒です。

・スネアのシェルにヘッドとフープがずれないように重ねる
・ボルトを緩める時・締める時は対角線ごとに
・ヘッドの張り具合に偏りがないようボルトを均等に締める
・半回転→1/4回転→1/8回転…と回転の度合いを抑えながら調整する
などといったことに注意しながら、基本的には表のヘッドを張る時の手順で作業を進めます。


スネアの裏側にはスナッピーが張られているため、外してからチューニングを行います。
(※スナッピーの取り付け方については、下記『スナッピーの取り付け方』にて説明します。)

ある程度きつめのチューニングにする

スネアサイドは打面と違い、打面から伝わる振動でスナッピーを鳴らすという役割があります。
張り具合が緩いと、スナッピーの震えをサイドが吸収してしまい、小さい音で叩いた場合にスナッピーの鳴りが悪くなるといったことがあります。
スネアの余韻を極端に強くしたい!という場合以外は、サイドはきつめに張りましょう。

サイドの真ん中あたりを指で押してみて、真ん中が凹むかそうでない程度であれば大丈夫です。

【※注意※】
スネアサイドは非常に薄く作られており傷つきやすいです。きつめのチューニングとは言っても、極端にきつい締め方はNGです。表の打面以上にヘッドの負担に気を付けながらボルトを調整しましょう。


指でサイドヘッドを叩いて音が均一かどうか確認するのも忘れずに。サイドヘッドに傷がつかないようスティックで叩いて確認するのは避けた方が良いです。

スナッピー付近は緩めのチューニングになりやすい

スネアサイド側のスナッピーを取り付ける部分は、シェルの淵が少し窪んでいます(この部分を”スネアベッド”と言います)。

これは、スナッピー両端付近のシェルを少し削りスナッピーを当らなくすることで、スナッピーの鳴りを良くする効果があるからです。
反面、スネアベッド付近は他に比べてチューニングが緩くなりやすく、ボルトを均一に締めると音程が合わなくなります。そのため、スネアベッド付近のボルトをきつく締めることで、全体の音程を揃えることができます。

スナッピーの取り付け方

スネアと他の打楽器を区別する決定的な特徴が、スナッピー(響き線)です。
そもそも、スネアドラムのスネア(snare)は英語で「響き線」のことであり、スナッピーそのものを表す言葉です(※スナッピーは日本での呼び名で、英語圏では単に”スネア”または”スネアワイヤー”と呼ばれます)。
チューニングと同じくらい大切なスナッピーの取り付け方を、コード(紐)で固定するタイプと、テープ(コードより幅の広いバンド)で固定するタイプの2種類に分けて解説します。

コードタイプ(紐)の場合

スナッピーを紐でシェルに固定するタイプです。

スナッピーと、取り付けるスネアを用意します。

※スネアにスナッピーが張られた状態から調整し直すという方もいると思いますが、ここでは一からスナッピーを張り直す場合の手順で説明します。


スナッピーを張る前に、スナッピーのON/OFFを切替えるスイッチ部にある調整ネジを緩めます。緩めすぎるとネジが外れてしまうため、外れる一歩手前まで緩めます。

スナッピーを張る位置は「スネアサイドのド真ん中」です。ワイヤー両端の金属プレートとスネアフープとの間隔が均一になるように配置します。

※位置を決める際、下図の左側のようにスナッピーを1~2mmほどバット側寄り(スイッチ部の反対側)に置くことをオススメします。
これは、スナッピーをスイッチ部とバット部に固定した後に調節ネジを締めると、スナッピーがスイッチ側に若干引っ張られるからです。

ネジを締めた後にスナッピーがド真ん中に移動していることを想定して置き位置を決めましょう。

置き位置を決めたら、コードをまずバット部に固定します。

上の写真のように、コードをバットの固定プレートの間に通します。


スナッピーのプレートの位置がずれないように注意し、コードをピンと張った状態でバットの固定プレートのネジを締めます。このとき、手のひらの側面でプレートを抑えながら指でコードを摘み、もう片方の手でネジを締めるとやりやすいです。

同じ要領で、今度はスイッチ部にもコードを固定します。

片方の手でスナッピーのコードをピンと引っ張りながら、もう片方の手でスイッチ部の固定プレートのネジを締めます。

余ったコードが長くて邪魔になりそうな場合、適度に結んでおくと良いでしょう。

これでスナッピーをスネアに固定できましたが、この状態ではまだスナッピーがユルユルのため、スイッチをONにしてスネアを鳴らしてもスナッピーはほとんど反応しません。

そこで、スナッピーを張る前に緩めたスイッチ部の調節ネジを締め、スイッチONの時にスナッピーがサイドヘッドに密着するようにします。スネアを叩いてみて、スナッピーがきちんとなっていることを確認してください。
また、締める度合いとして、ネジを締めた後にスナッピーワイヤーを指で引っ張って離した際、ワイヤーが反発し元の位置に戻るくらいのきつさであれば大丈夫です。

これでスナッピーを取り付ける作業は完了です。

テープタイプ(幅の広いバンド)の場合

スナッピーをテープ(布、プラスチック等)でシェルに固定するタイプです。

スナッピーと、取り付けるスネアを用意します。

※スネアにスナッピーが張られた状態から調整し直すという方もいると思いますが、ここでは一からスナッピーを張り直す場合の手順で説明します。


スナッピーを張る前に、スナッピーのON/OFFを切替えるスイッチ部にある調整ネジを緩めます。緩めすぎるとネジが外れてしまうため、外れる一歩手前まで緩めます。


スナッピーを張る位置は「スネアサイドのド真ん中」です。ワイヤー両端の金属プレートとスネアフープとの間隔が均一になるように配置します。

※位置を決める際、下図の左側のようにスナッピーを1~2mmほどバット側寄り(スイッチ部の反対側)に置くことをオススメします。
これは、スナッピーをスイッチ部とバット部に固定した後に調節ネジを締めると、スナッピーがスイッチ側に若干引っ張られるからです。

ネジを締めた後にスナッピーがド真ん中に移動していることを想定して置き位置を決めましょう。

置き位置を決めたら、テープをまずバット部に固定します。

上の写真のように、テープをバットの固定プレートの間に通します。


スナッピーのプレートの位置がずれないように注意し、バットの固定プレートのネジを締めます。

同じ要領で、今度はスイッチ部にもテープを固定します。
片方の手でスナッピーのテープをピンと引っ張りながら、もう片方の手でスイッチ部の固定プレートのネジを締めます。

これでスナッピーをスネアに固定できましたが、この状態ではまだスナッピーがユルユルのため、スイッチをONにしてスネアを鳴らしてもスナッピーは殆ど反応しません。

そこで、スナッピーを張る前に緩めたスイッチ部の調節ネジを締め、スイッチONの時にスナッピーがサイドヘッドに密着するようにします。スネアを叩いてみて、スナッピーがきちんとなっていることを確認してください。
締めた後にスナッピーワイヤーを指で引っ張って離した際、ワイヤーが反発し元の位置に戻るくらいのきつさであれば大丈夫です。

これでスナッピーを取り付ける作業は完了です。

スナッピーの調整で気をつけること【コード/テープ共通】

調整ネジを締めてスナッピーを張ると、スナッピーがスネアサイドに密着するためスネアの余韻を抑える効果があります。そのため、スナッピーの張り過ぎはスネア自体の鳴りを殺し、音を詰まらせる原因となるので注意しましょう。
スナッピーをOFFにすると余韻の残り方はサイドのチューニング通りに戻ります。

スナッピー調整の目安として、スナッピーをONにした時とOFFにした時の余韻の長さが同じくらいになるくらいを心がけると良いと思います。
「ON/OFFの余韻の鳴り方が同じで、かつON時の音がちょっと引き締まった感じがする」のが理想のチューニングのひとつかと思います。

さいごに

タイトルでも言いましたが、スネアの音は『裏』で決まると思います。

良い音を鳴らすために大切な『裏』工作の作業として、

  • スネアサイドのチューニング
  • スナッピーの取り付け

の2つがあります。

サイドのチューニングを変えた場合、スナッピーON時の張り方にも影響が出てくるため(逆もまたしかりです)、サイドとスナッピーどちらかの調整を行った場合、もう片方の調整も行いましょう。